学術集会

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学術集会

抄 録

血液領域2 

D-11

当院における抗真菌薬併用療法の実際

演者:川口 博資(大阪市立大学医学部附属病院 薬剤部)

目的:

深在性真菌症の治療にあたり、本邦で臨床的に全身投与可能な抗真菌薬は10剤(2014年9月現在)であり、各々の抗真菌活性、体内動態や安全性などを理解し、適正に使用していく必要がある。抗真菌薬単剤の治療で無効な難治性真菌症には併用療法が行われることがあるが、併用療法についてエビデンスは確立されておらず、併用療法に用いる薬剤の選択、投与方法についての明確な指針はない。そこで、抗真菌薬併用療法の実際を明らかにするために調査を行った。

方法:

2011年4月から2014年3月の期間、大阪市立大学医学部附属病院(以下、当院)において3日間以上抗真菌薬の併用投与が行われた患者を対象とした。対象患者について、患者背景、抗真菌薬、併用期間、検査値等を電子カルテより後方視的に調査を行った。当院では、AMPH-B、5-FC、MCZは採用されていない。

結果:

対象患者は40名、対象症例は47例であった。併用抗菌薬はL-AMB+VRCZが8例、FLCZ+CPFG、FLCZ+MCFG が各6 例、FLCZ+VRCZ、ITCZ+L-AMB、L-AMB+CPFG、L-AMB+FLCZ、MCFG+VRCZが各3例、その他の組み合わせが12例であった。併用抗菌薬は46例が2剤併用であったが、1例のみ3剤併用(L-AMB+VRCZ+MCFG)されていた。平均併用期間は11.4日(3-53日)であった。基礎疾患は血液疾患が39例で最も多く、耳鼻咽喉科、消化器外科等の領域の疾患が10例であった。

考察:

当院で抗真菌薬が併用された症例は、血液疾患を中心に、抗真菌薬予防投与中、または、単剤で治療中の発熱性好中球減少症の悪化、侵襲性アスペルギルス症疑いのためがほとんどであり、併用が検討される症例であったと考えられる。今回最も多く併用されていた組み合わせはL-AMB+VRCZであり、血液疾患領域での侵襲性アスペルギルス症疑いや、浸潤型副鼻腔真菌症を対象に使用されていた。抗真菌薬併用療法はそのエビデンスも限られ、また医療経済的にも高価であるため慎重な選択が求められる。そのため有効性が期待できる対象症例や患者の状態、併用薬や副作用も考慮した薬剤選択を明らかにする必要がある。今回の調査結果より、当院での抗真菌薬併用療法の実際を把握することができ、今後抗真菌薬併用療法への介入について有用な情報源になり得ると考える。