学術集会

Get Adobe Reader

※PDFファイルをご覧になるためには、「Adobe Reader」が必要です。
インストールされていない方は、Adobeサイトからダウンロードしてください。

学術集会

抄 録

血液領域1 

D-08

小児急性骨髄性白血病におけるvoriconazoleを用いた深在性真菌症の予防

演者:佐野 弘純(札幌北楡病院 小児思春期科)

緒言:

深在性真菌症(IFI)は、血液・腫瘍性疾患診療における重大な合併症の一つであるが、早期に、かつ正確に診断することは難しく、一旦発症するとその予後は不良であるため、高リスク患者に対しては抗真菌薬の予防投与が重要である。特に急性骨髄性白血病(AML)患者では、アスペルギルスに代表される糸状菌感染症のリスクが高いが、従来予防に用いられてきたfluconazoleでは糸状菌に対して効果がなく、新たな予防法の確立が期待される。我々は以前、小児AML症例17例に対してvoriconazole(VRCZ) 5mg/kg/日の予防投与を行い、その後IFIを発症した症例を4例(proven 1例, probable 1例,possible 2例)認めたことを報告した (小林良二 他 日本小児血液・がん学会雑誌 2013)。今回、化学療法中のAMLの患児に対してVRCZの予防投与を10mg/kg/日に増やして行い、有効性について検討した。

方法:

2005年10月〜2011年6月にAML 15例に対して合計55クールの化学療法を行い、化学療法開始時よりVRCZ 5mg/kg/日 (max. 200mg/日) 分2の予防内服を行った。一方、2011年7月〜2014年7月にAML16例に対して合計67クールの化学療法を行い化学療法開始時よりVRCZ 10mg/kg/日 (max. 400mg/日)分2の予防内服を行った。2群の患者背景やVRCZの血中濃度および有効性について比較した。

結果:

2群の間で年齢、性別、FAB分類、VRCZ投与期間(中央値126日 vs 158日)および副作用の発現に有意な差は認められなかった。VRCZの血中濃度は5mg/kg/日投与群では全例が<0.09 μg/mlであったのに対し、10mg/kg/日投与群では<0.09~2.17μg/ml(中央値0.24 μg/ml)であった。IFIの予防効果について、5mg/kg/日投与群では予防投与を行った55クール中4例(7.3%)でIFIの発症を認めたのに対し、10mg/kg/日投与群では予防投与を行った67クール中に4例(5.9%)でIFIの発症を認めた。侵襲性アスペルギルス症の発症は両群でともに1例認めた。また、10mg/kg/日投与群ではムーコル症を1例認めた。化学療法開始後、120日時点でのfailure free survival(IFIを発症せずに生存した患者の割合)は5mg/kg/日投与群で70.9%、10mg/kg/日投与群で76.3%と差を認めなかった(P=0.809)。

考察:

小児AML患児に対するVRCZの予防投与について、5mg/kg/日群と10mg/kg/日群とで有効性および有害事象に差はなかった。10mg/kg/日投与群でムーコル症のbreakthrough感染症を1例認めており、注意が必要と考えられた。