学術集会

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学術集会

抄 録

稀な菌種1 

D-01

気管支鏡検査にて確定診断に至った肺ムーコル症の一例

演者:峰松 明日香(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 呼吸器病態制御学[第二内科]

症例:

45歳、男性。X-1年7月に当院血液内科で成人T細胞白血病(ATL)急性型と診断され、化学療法後に骨髄移植を施行された。以後、寛解状態となっていたが、難治性の皮膚GVHDに対してX-1年12月よりPSL 40mg、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチルを内服中だった。サイトメガロウイルス感染に対してホスカルネットも併用しており汎血球減少を認めていた。X年5月にCRP上昇と胸部単純X線にて右上肺野に空洞を伴った結節影を認め、当科紹介となった。胸部CTにて右上肺野に2-3cm大のhalo signを伴った空洞性結節を認めた。移植前より真菌感染症に対してボリコナゾール(VRCZ)200mg/dayの予防内服が行われており、ブレイクスルー感染が疑われた。喀痰が得られなかったため気管支鏡検査を施行した。気管支洗浄液より糸状菌を認め、培養の結果Rhyzopus spp.の確定診断に至った(国立感染症研究所にて同定)。気管支鏡検査施行後よりアムホテリシンBリポソーム製剤(L-AMB)5 mg/kg/dayを開始し、腎機能の低下により3mg/kgに減量した。画像所見では結節影の縮小と空洞壁の菲薄化を認めたが、腎機能の悪化に伴い、X年10月にL-AMB投与を中止し、薬剤感受性の結果を踏まえてイトラコナゾール 200 mg/day、ミカファンギン 150 mg/day投与を行った。

考察:

VRCZの予防内服中にブレイクスルー感染を起こした肺ムーコル症を気管支鏡検査によって生前に診断することができた。ムーコル症は血液疾患患者の剖検例では増加傾向を示しているが生前診断例は少なく、文献的考察を含めて今回の症例を報告する。