学術集会

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学術集会

抄 録

基礎3 

C-11

樹状細胞ワクチンが誘導するサイトカイン応答と Cryptococcus gattii 北米流行株に対する感染制御効果

演者:上野 圭吾(国立感染症研究所 真菌部)

背景:

北米流行型のCryptococcus gattiiは、旧来の菌株よりも高病原性であることが指摘されているが、本菌の感染を制御する免疫応答は十分に解明されていない。本研究では、感染予防や治療に資する基盤情報を集積する目的で、本菌に対する樹状細胞ワクチン(DCワクチン)の感染制御効果及びその作用機序を解析した。

方法:

マウスの骨髄細胞をGM-CSF (顆粒球単球コロニー刺激因子)存在下で6日間培養し、得られた非接着細胞を樹状細胞とした。この樹状細胞に、C. gattiiの莢膜欠損株(CAP60Δ)の死菌を抗原として貪食させてDCワクチンとした。DCワクチンは感染14日前と感染前日に尾静脈から投与し、3×103 cfu/mouseのC. gattii 北米流行株R265株を経気道感染させた。

結果:

DCワクチン非投与群に比べて、DCワクチン投与群では感染3日目及び感染14日後の肺内菌数は有意に低下し、生存期間は有意に延長した。樹状細胞は優れたT細胞誘導活性を有していることから、DCワクチンにより誘導されたT細胞を評価した。その結果、DCワクチン投与群ではIFNγ産生性T細胞、IL-17A産生性T細胞、TNFα産生性T細胞が有意に増加し、感染14日目の肺でもこれらのサイトカインは有意に増加していた。病理解析の結果、DCワクチン投与群の肺では、成熟した多核巨細胞が菌体を取り囲むように多数集積していることも明らかになった。次に、DCワクチンが誘導するIFNγ応答が感染制御効果に与える影響を評価するために、IFNγ欠損マウスにDCワクチンを投与し感染実験を行った。その結果、野生型マウスに比べるとIFNγ欠損マウスではDCワクチンの効果が部分的に減弱するものの、DCワクチンによる肺内菌数の減少が観察され、IFNγ欠損マウスにおいてもDCワクチンの効果は消失しなかった。

考察:

DCワクチンは各種サイトカイン応答を増強し、C. gattii感染後の肉芽腫形成を誘導することで、菌体の増殖を抑制するものと推察された。肺内の肉芽腫形成によるC. neoformansの感染排除にはIFNγが必須であるが、C. gattiiの感染制御にはIFNγの関与は限定的であることが推察された。C. gattiiの感染制御におけるIL-17AやTNFαの関与を検証する必要がある。