学術集会

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学術集会

抄 録

基礎2 

C-08

Aspergillus fumigatus による気道上皮細胞からのMUC5ACの発現の誘導とマクロライド系抗菌薬による抑制

演者:平野 勝治(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 感染免疫学講座[第二内科])

背景:

肺は生体外と交通しており、病原体の侵入を防御する自然免疫機構が気道である。その気道上皮において粘液が産生され防御機構として機能している。しかし気道粘液は過剰に産生されれば病原体に有利に働き、慢性下気道感染の遷延の原因とも考えられる。MUC5ACは気道粘液を構成する主要なムチン蛋白質である。既にChlamydophila pneumoniae、Haemophilus influenzae、Legionella pneumophilaMycoplasma pneumoniaeによるMUC5AC産生の亢進について報告がある。そこでA. fumigatusによるMUC5ACの発現の誘導とさらにマクロライド系抗菌薬によるMUC5ACの発現の抑制について検討した。

方法:

気道上皮細胞(NCl-H292、ATCC®Number:CRL-1848™)を、A. fumigatus(5233、ATCC®Number:13073™)の培養上清で24時間刺激し、ELISA法を用いてMUC5ACの発現量を解析。またPCR法にてm-RNAレベルの発現を解析した。培養にはRPMI培地(GIBCO RPMI 1640)を用いた。マクロライド系抗菌薬としてクラリスロマイシン(CAM)・アジスロマイシン(AZM)を用いた。

結果:

A. fumigatusの培養上清によりMUC5ACの発現は誘導され発現量は増加していた。またそれは刺激物質の濃度に依存していた。さらにマクロライド系抗菌薬によってMUC5ACの発現は抑制され、m-RNAレベルでも同様の傾向を認めた。

考察:

A. fumigatusの培養上清により気道上皮細胞からのMUC5ACの発現は蛋白レベルでもm-RNAレベルでも誘導され、マクロライド系抗菌薬により抑制された。マクロライド系抗菌薬による発現抑制は、過剰な粘液産生を抑えA. fumigatusの気道定着を抑制する可能性が考えられる。よってマクロライド系抗菌薬はバイオフィルムの構成成分のひとつであるムチンの過剰産生を抑え、肺アスペルギルス症の治療に追加できる可能性がある。