学術集会

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学術集会

抄 録

疫学 

C-03

DPCデータを用いた深在性真菌症ターゲット・サーベイランスの実際

演者:中山 晴雄(東邦大学医療センター大橋病院 院内感染対策室)

 年々増大する医療費に対する抑制策の切り札として、2003年から包括支払制度が開始され、本邦は新たな医療経済時代に突入した。このような定額医療時代において、入院期間の延長、診療費の増大をもたらす院内感染は特に重大な問題である。中でも、深在性真菌症は入院期間の延長も著しく、抗真菌剤使用率の上昇にともなう診療費の増大もあることから、医療経済効果を含めたより実践的な対策が望まれている。この際重要となるのが、普段の基礎的な感染症発生率を把握し、集団発生を早く察知するのに役立つと同時に、現行の感染対策が有効であるかを検証するサーベイランスであることは論を待たない。通常、院内感染制御の観点からは特定の必要性に焦点を当てたターゲット・サーベイランスが用いられるが、その際、最も問題となるのは、データ収集システムの確立であるとされている。しかしながら、煩雑な病棟業務の過程で、サーベイランスのためのワークシートを作成記入し、そのタイミングや手順を担当スタッフに教育し、定められた基準に沿って判定していくことは臨床的には大きな負荷と問題を包括しており、その実践は困難である。一方、分析可能な全国統一形式の患者臨床情報に診療行為を加えた電子データセットであるDPCデータは、DPC調査対象病院から提出される我が国の急性期医療を評価するための重要かつ最大のデータベースであり、旧来のサーベイランスが抱える種々の問題を解決する可能性が指摘されている。そこで、今回、東邦大学医療センター大橋病院脳神経外科入院患者を対象にDPCデータを用いて抗真菌剤の使用状況を中心とした深在性真菌症サーベイランスを施行することで、DPCデータを用いた深在性真菌症ターゲット・サーベイランスの臨床応用の可能性について検証した。その結果、2013年4月から2014年3月までの観察期間における抗真菌剤使用症例は医療経済的負担が高く、入院期間が長期化する傾向が指摘された。以上のことから、抗真菌剤を中心としたDPCデータを用いた本検討からは、深在性真菌症サーベイランスにおいては、DPCデータを利用することで、深在性真菌症発生症例の確認と施設ごとの抗真菌薬使用状況並びに経済効果をこれまで以上に簡便かつ正確に評価することが可能であることが示唆された。