学術集会

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学術集会

抄 録

疫学 

C-02

In situ hybridization(ISH)法を用いた酵母血流感染症の後方視的発生動向調査

演者:大久保 陽一郎(東邦大学医学部 病院病理学講座)

背景:

酵母血流感染症は極めて予後不良な深在性真菌症であり、これまでカンジダ血流感染症がほとんどを占めていると考えられていた。しかしながら、近年トリコスポロン血流感染症の割合増加が懸念されている。薬剤感受性の違いからCandida属とTrichosporon属の鑑別は極めて重要にも関わらず、培養検査による短時間の同定は困難であり、同定率も高いとは言い難い。一方、両者の形態学的鑑別は事実上不可能であることから、我々は形態学的診断に遺伝子学的補助診断法を組み合わせることで、Candida属ならびにTrichosporon属の迅速かつ正確な鑑別方法の確立を試みている。さらに、未だ不明な酵母血流感染症に関する詳細を明らかにすべく、後方視的発生動向調査を併せて遂行している。


方法・結果:

酵母様真菌感染症が記載された剖検例を対象としてホルマリン固定パラフィン包埋切片を収集した。これらの切片において二形性酵母を確認した後に、Candida属ならびにTrichosporon属に対するpeptide nucleic acid (PNA) probeを用いたISH法を施行した。その結果、これまで形態学的鑑別が事実上不可能であり、カンジダ血流感染症として登録されていた剖検例の一部において、Candida属とTrichosporon属の鑑別が可能となり、現時点では酵母血流感染症の中で、約6%の頻度でトリコスポロン血流感染症を確認することができた。


まとめ:

深在性真菌症の発生頻度は経年的に増加傾向にあり、菌種同定が重要となるが、培養検査のみでは原因菌種の同定が困難な場合も少なくない。そこで形態学的診断に遺伝子学的補助診断法を組み合わせる事でより精度の高い診断が可能になると考えられる。さらに、我々の調査からは酵母血流感染症の中でトリコスポロン血流感染症が一定の割合を占めているものと推測された。今後、症例数を重ねることで酵母血流感染症の詳細をより明らかにしたい。