学術集会

Get Adobe Reader

※PDFファイルをご覧になるためには、「Adobe Reader」が必要です。
インストールされていない方は、Adobeサイトからダウンロードしてください。

学術集会

抄 録

疫学 

C-01

固形臓器移植における深在性真菌症の疫学〜日本剖検輯報2009-2011のデータより〜

演者:鈴木 裕子(福島県立医科大学 輸血移植免疫学講座)

背景:

1997年臓器移植法の成立や、数々の免疫抑制剤の上市により、我が国でも、固形臓器移植(SOT)が幅広く行われている。現在、年間100例以上の脳死・心停止での臓器提供が行われ、生体、脳死・心停止ドナーあわせて、腎臓移植は、1300例/年、肝臓移植は400?500例/年が行われている。私達のグループは、久米を筆頭とし、日本病理剖検輯報を対象として、経年的な内蔵真菌症(VM)の頻度・解析および報告を行っている。そのなかで、今回は2009?2011年までの3年分のSOT症例についてのVMの解析を行ったので、報告する。重篤などの分類は、従来の報告通り。統計は、χ二乗などを用い、p<0.05を有意とした。


結果:

3年間の剖検総数 39,608例、VM合併例は、1865例(4.7%)。SOT関連剖検総数 108例(肝66例、腎31例、肺 6例、心2例など)のうち、感染症続発例総数62/108例(57.4%)、死因に繋がるような重篤なのが、40/62例(64.5%)。VMを続発したものは22/108例(20.4%)で、重篤は、16/22例(72.7%)。肝臓移植66例では、16例(肝硬変 10例、悪性疾患 3例など)にVMを続発。このうち9例(56.3%)が死因に繋がるような重篤感染であった。原因真菌は、アスペルギルス(As)10例、カンジダ(Ca)2例、As+Ca 1例、クリプトコックス 1例であった。感染部位は主に呼吸器であった。VMの有無では、年齢、性別には有意差は見られなかった。腎臓移植31例では、5例(16.1%)にVMを続発し、4例が重篤感染であった。原因真菌は、3例がCaであった。

考察:

本邦症例で、SOTのVMをまとめた報告は少ない。少数例ではあるが、肝臓移植では、アスペルギルスによる呼吸器感染対策が重要と思われた。剖検例であるので、重症例に偏る傾向はあるが、今後の臓器移植の発展のためにも、更にさかのぼった検索を予定している。