学術集会

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学術集会

抄 録

アスペルギルス3 

B-08

非結核性抗酸菌症における空洞は慢性進行性肺アスペルギルス症発症の危険因子となる

演者:藤内 智(国立病院機構旭川医療センター 呼吸器内科)

背景:

慢性進行性アスペルギルス症(CPPA)は既存肺構造の破壊を伴う呼吸器疾患に引き続き発症するものが大半である。中でも肺結核や非結核性抗酸菌症(NTM)などの抗酸菌感染症罹患後に発症するCPPAは基礎疾患として頻度が高く臨床的にも重要である。我が国においては結核罹患率低下の一方でNTM症の急激な増加が報告されていることから今後NTM罹患後のCPPA発症例の増加が予想されているが、どのようなNTM症がCPPAを発症しやすいかは明らかではない。

対象と方法:

1997〜2011年の間に2008年のATS基準を満たして診断された378例のNTM患者を対象として後ろ向きに検討した。NTM治療中あるいは治療終了後の観察中に自覚症状、画像所見などからCPPAの発症を疑いアスペルギルス沈降抗体検査を行って抗体が陽性化した場合CPPAと診断し、CPPA発症群と非発症群のNTM診断時の臨床諸因子を比較して解析を行った。

結果:

NTM378例中37例(9.8%)が経過中にCCPAと診断された。CPPA発症群と非発症群の間に性、年齢、原因菌種、診断法と糖尿病合併に差は認めなかった。一方CPPA発症例ではNTM診断時喀痰塗抹陽性例、画像上の線維空洞例、病変の拡がりが大きい例、治療後の排菌陽性持続例が非発症例に比較して多かった。これら差を認めた臨床的因子を多変量解析した結果では線維空洞例のみが有意な因子として残り、粒状気管支拡張型に比較してCPPA発症リスクが高かった(Risk比2.82 p < 0.01 )。また診断時の喀痰塗抹量とCPPA発症に有意な関連性を認めた(p<0.05)。

考察:

CPPAに対する薬剤治療の有効率は60%前後にとどまっており、5年生存率は5年と難治性感染症の一つである。今後増加が予想されるNTM症例に対しCPPA発症リスクを念頭に置いて診療することは重要である。