学術集会

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学術集会

抄 録

アスペルギルス1 

B-01

眼窩先端症候群で発症し、髄膜炎、脳梗塞、感染性動脈瘤破裂を合併した侵襲性副鼻腔アスペルギルス症の1例

演者:山地 芳弘(千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学)

緒言:

中枢神経浸潤を伴う侵襲性アスペルギルス症は比較的稀な疾患だが、非常に予後不良であり、中枢神経合併症で死に至ることが多い。今回、眼窩先端症候群で発症し、髄膜炎、脳梗塞、感染性動脈瘤破裂を合併した侵襲性副鼻腔アスペルギルス症の1例を経験したため文献的考察を加え報告する。

症例:

80歳、女性。2013年某月、視力低下、頭痛、眼球痛が出現し、徐々に増悪傾向を認め、当院眼科を紹介受診した。頭部MRI検査で右眼窩尖部の視神経周囲の軟部陰影が認められ、採血、画像診断、副鼻腔の内視鏡検査結果よりTolsa-Hunt症候群による眼窩先端症候群としてステロイド療法が開始された。治療開始後、速やかに症状は軽快したが、ステロイド減量後に再増悪を認め、投与量が調節されていた。
 その3か月後、3日間持続する意識障害と歩行困難を主訴に当科受診となった。来院時、意識レベルはGCSでE3V5M6、体温 37.9℃と軽度の意識障害、発熱を認めていた。身体所見上、右眼は視力喪失、左眼は指数弁、項部硬直、左顔面の筋力低下を認めた。頭部CT所見上、右蝶形骨洞の骨欠損と眼窩内の交通を認め、頭部MRI拡散強調画像では、右乳頭体から視床にかけての高信号域と、脳梗塞像を認めた。髄液検査では、多核球優位の細胞数上昇を認めており、髄膜炎の合併を認めた。各種検査結果から副鼻腔真菌感染症の関与が疑われ、抗菌薬に加えL-AMB投与を開始。
 入院4日目、視神経管・蝶形骨洞開放術施行。術中所見で副鼻腔内に真菌塊を認め、病理所見から侵襲性副鼻腔アスペルギルス症の診断に至り、抗真菌薬をVRCZに変更した。
 入院6日目、感染性動脈瘤破裂によるくも膜下出血を合併し、意識レベルの悪化を認めた。
 入院13日目、意識障害が遷延したため、気管挿管を施行し、中枢神経への移行性が良好な5-FC投与を追加した。入院25日、気管切開術を施行。
 入院42日目、ICUを退室。その後の経過で意識障害はGCSでE1VTM1からE3VTM6まで改善を認め、入院65日目、転院となった。

結語:

中枢神経合併症を発症した侵襲性アスペルギルス症は稀であり、今後さらなる症例集積が必要である。今回VRCZと5-FCの併用療法が奏功したため報告する。