学術集会

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学術集会

抄 録

クリプトコックス 

A-10

関節リウマチ治療中に発症し、β-D-グルカンの上昇を認めた肺クリプトコックス症の1例

演者:芦澤 信之(富山大学附属病院 感染症科)

緒言:

肺クリプトコックス症は、約半数は基礎疾患がない患者に発症するが、残りは悪性腫瘍や腎疾患、膠原病、血液疾患などの基礎疾患を有する患者に発症する。また、クリプトコックス症のほとんどはβ-D-グルカンが上昇しない。今回、関節リウマチ治療中に発症し、β-D-グルカンの上昇を認めた肺クリプトコックス症を経験したため報告する。

症例:

49歳、男性。主訴は発熱、咳嗽、胸痛。基礎疾患に関節リウマチ、B型肝炎キャリアあり。

現病歴:

20XX-2年に関節リウマチの診断となり、プレドニゾロン(PSL)5mg/日とメトトレキサート(MTX)8mg/日で治療を開始された。その後、関節リウマチの症状は改善し、MTXのみ継続されていた。20XX年2月に発熱を認め、左肺S6末梢側に浸潤影を指摘された。経気管支肺生検の結果、器質化肺炎が疑われ、PSL 20mg/日を開始された。その後PSLは15mg/日まで漸減され、画像所見も改善した。しかし、7月の胸部CTで両側肺野胸膜直下に多発結節影を認め、発熱、咳嗽、胸痛が出現したため、精査加療目的に当院呼吸器内科に紹介され入院となった。

入院後経過:

入院時の胸部CTでは病変が進行し、両側下葉に浸潤影を認めた。また、血清クリプトコックス抗原が256倍以上と高値で、経気管支肺生検ではグロコット染色で酵母様菌体が確認され、気管支洗浄液からはクリプトコックスが培養されたため、肺クリプトコックス症と診断した。炎症反応が著明に高値で、室内気でSpO2:91%と低下あり、重症例としてL-AMBの投与を開始した。なお、β-D-グルカンは45.8pg/mLと高値であった。その後症状、画像所見は改善したため、2週間後よりFLCZ内服に変更し、再燃なく治療継続中である。β-D-グルカンは経過とともに低下してきている。

考察:

本症例では髄膜炎は指摘されなかったが、肺炎様の浸潤影を呈した。一般的にクリプトコックス症ではβ-D-グルカンは上昇しないが、本症例では肺病変の進行が影響し高値となった可能性が考えられた。また、病変進行のリスク因子としてステロイド投与が考えられた。特に易感染患者では全身播種の危険性を有するため、胸膜直下に存在する結節影では、肺クリプトコックス症も鑑別疾患に考慮する必要がある。