学術集会

Get Adobe Reader

※PDFファイルをご覧になるためには、「Adobe Reader」が必要です。
インストールされていない方は、Adobeサイトからダウンロードしてください。

学術集会

抄 録

クリプトコックス 

A-08

Cryptococcus liquefaciens によるカテーテル関連血流感染の1例

演者:大 忠智(聖マリアンナ医科大学病院 臨床検査部)

はじめに:

Cryptococcus liquefaciens は環境菌として知られており、アトピー性皮膚炎の患者の皮膚から検出されることは報告されている。しかしながら基本的には弱毒性であるため、感染症を起こした症例の報告はまだない。今回我々は本菌によるカテーテル感染症を経験したので報告する。

症例:

71歳、男性。平成20年、当院にてB細胞リンパ腫と診断され、化学療法にて寛解した。しかし平成24年4月に再発を起こしたため、再度加療目的で入院となった。CVカテーテル挿入の約30週後の12月23日に発熱を認め、提出された血液培養からCryptococcus 様の酵母様真菌が検出された。その後の12月27日にCVカテーテルを抜去となり、カテーテルからも酵母様真菌が検出された。グラム染色、墨汁染色にて莢膜は通常のC.neoformansに比べて薄かった。血清中のクリプトコックス抗原及びβ-D-グルカンは陽性であった。ポアメディアViカンジダ寒天培地(栄研化学)、ポテトデキストロース寒天培地(日本BD)を用いて25℃で好気培養を行った結果、48時間後に通常みられるC.neoformansとは違う白色でラフなコロニーを認めた。簡易同定キットであるRapid ID YeastPlus(remel)とアピCオクサノグラム(シスメックスビオメリュー)にて菌種の同定を試みたが菌名同定には至らず、質量分析機器MALDIBiotyper(ブルカー)でも菌種同定には至らなかったため、国立感染症研究所にて遺伝子解析を行った結果C. liquefaciens と同定された。検査結果の連絡後にFLCZの投与からVRCZの投与に変更された。

考察:

C. liquefaciens による感染症の人への報告例は探しえる範囲では見当たらず、極めて稀な症例である。骨髄抑制が行われている患者においては、種々の環境菌が原因菌である可能性も念頭において検査を進めていく必要があると思われる。また同定が困難な菌種において、遺伝子検査による菌種同定は適切な治療を行う上で非常に有用な検査であると思われる。