学術集会

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学術集会

抄 録

カンジダ症2 

A-06

β-D-グルカンの連続低下と深在性真菌症の治療効果との関連

演者:中嶋 一彦(兵庫医科大学 感染制御部)

背景と目的:

β-D-グルカン(BDG)は深在性真菌症のエムピリック治療の開始基準に用いるなど、診断には有用である。しかし、治療効果との関連については明確ではない。本研究では治療効果とBDGの変動についての関連性を調査した。

方法:

対象患者は2006年2月より2013年4月に当部が治療に関与した侵襲性カンジダ症の確定診断例または疑診例とした。治療開始時のBDG値が基準値以上を示し、治療開始後7日目前後と14日目前後にBDGを測定した患者を対象とした。初期治療が無効であり抗真菌薬の変更を行った症例は別の1回の治療とした。治療効果は臨床検査、画像所見、臨床症状などの改善を認めたものを有効とした。7日目前後のBDG値の増減、および7日目から14日目のBDGの推移を10%と定義し、ベースラインから7日目、14日目に連続した減少を“negative slope”と定義した。治療効果とBDGのnegative slope、患者背景(性別、年齢(≧65)、癌化学療法、固形悪性腫瘍、心疾患、慢性呼吸器疾患、アルブミン値(≦2.8g/dL)、ステロイド使用、糖尿、APACHscore(≧20))など)との関連性について検討を行った。


結果と考察:

55例(男性33人、62.5±15.3歳)、62回の治療が対象(菌血症22例(感染性心内膜炎2名を含む)、エムピリック治療25名など)となった。検出されたカンジダ属はC. albicans 25株(62.5%)等であった。一次治療の選択薬はF-FLCZが20/55例(26.4%)、キャンディン系薬28/55例(50.9%)などが用いられた。全有効率は82.3%(51/62)であった。治療有効例と非改善例のベースラインBDGは、有効例では99.9±135.3pg/μL、非有効例では64.3±61.4 pg/dL、p=0.188で有意な差はなかった。7日目の値がベースラインに比べ10%の低下した症例は有効例では68.6%(35/51)、無効例では36.4%(4/11)であった(p=0.045)。BDGが7日目から14日目に10%低下した症例は有効例では74.5%(38/51)、無効例では36.4%(4/11)であった(p=0.014)。negative slopeを示した症例は有効例では56.9%(29/51)、無効例では9.1%(1/11)で、有効例で有意に多かった(p=0.004)。治療の有効性に対する要因として、単変量解析では心疾患(p=0.052)、BDGのnegative slope(p≦0.006)であり、多変量解析にてnegative slopeが独立した治療効果の因子(オッズ比12.5、95%信頼区間:1.44−108.2、p=0.022)であった。BDGのnegative slopeは侵襲性カンジダ症の治療の効果の評価に有用であることが示された。