学術集会

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学術集会

抄 録

カンジダ症1 

A-01

当院で経験したボリコナゾール(VRCZ)投与中に視覚障害をきたした3例

演者:加藤 秀雄(愛知医科大学病院 感染制御部、愛知医科大学病院 薬剤部)

緒言:

ボリコナゾール(VRCZ)は広域な抗真菌スペクトルを持つ深在性真菌症治療薬の一つであり、頻繁にVRCZの投与継続を規定する副作用に肝障害の他に幻覚などの視覚障害が報告されている。当院で経験したVRCZ投与中の視覚障害症例を報告する。

症例1:

左大腿骨頸部骨折で入院となった68歳の女性。骨関節炎および骨髄炎の診断でβ-D-グルカン高値、過去のCandida属検出歴ならびに組織移行性を考慮してVRCZが投与された(1日目6.7mg/kg×2、2日目〜4.4mg/kg×2)。VRCZ投与4日目に幻覚の訴えがあったためVRCZは中止となった(トラフ値測定なし)。VRCZ投与終了後に幻覚は消失した。

症例2:

右大腿軟部腫瘍術後の81歳の男性。真菌性皮膚軟部組織感染症の診断で抗真菌薬投与開始となった。皮膚に認められた膿からCandida guilliermondiiが検出されVRCZが選択された(1日目6 mg/kg×2、2日目〜4 mg/kg×2)。VRCZ内服開始の翌日に幻視の訴えがありVRCZは中止となった(トラフ値0.09μg/mL以下)。薬剤中止後、幻覚症状は消失した。

症例3:

急性閉塞性化膿性胆管炎にて経皮経肝胆管ドレナージを施行した67歳の男性。真菌血症の診断で抗真菌薬投与開始となった。Candida albicansTrichosporon asahiiの検出歴を参考にVRCZが静注投与された(1日目6.5mg/kg×2、2日目〜4.3mg/kg×2)。VRCZ投与開始翌日に軽度の幻覚症状が出現した。VRCZは継続されたが次第に幻覚症状は消失した(トラフ値3.79μg/mL)

考察:

VRCZの有害事象である視覚障害は、投与7日目までの発生頻度が高く、投与後4日以内で消失す ることが多いと報告されており、自験例でもVRCZ投与開始から4日以内に視覚異常を認め、VRCZ投与 中止後早期に消失した。また、VRCZ投与による視覚障害は肝障害と同様に薬物血中濃度との関与が疑 われているが、自験例では低濃度でも出現していた。したがって、VRCZ投与開始早期の患者では、そ の血中濃度の高低に関わらず視覚障害の出現について注意深く観察する必要がある。